帰国子女の日本文化の受け入れ方 – Third Culture Kid

転校・留学・海外

私は海外に8年間住んでいたことがあります。
主に小学生の時と高校生の時に3カ国に滞在しました。今は日本に帰ってきています。

そんな私に、中学校の英語教師をしている友人がこんな相談をしてきました。
5年間海外に住んでいた生徒が日本文化に戸惑っている。君も日本文化に戸惑う?

子供の頃に長期間海外に住んでいた子供たちが、日本に帰国したときに、日本と滞在国との文化の違いを感じる「逆カルチャーショック」を受けることは多いでしょう。

せっかくなので、この記事でその友人の質問に答えつつ、子供の頃に8年間海外滞在をした私がどのように日本文化の向き合っているかを書き綴ります。

私は日本人

私は小学校1年生の時から海外に滞在していましたが、中学校3年間は日本の公立中学に通い高校受験も経験するなど、日本での教育も受けているほうです。

また、海外に滞在している間も日本の通信教育(進研ゼミ)を受講していました。
様々な教育システムの学校に転校することが多かったため、子供達は「日本を軸に教育する」と両親が決めてくれていたんです。

いつも母国語は日本語でしたし、一度帰国したのち高校生のころにまた海外に滞在したときは英語の勉強で苦労したほどです。

私はいつも「日本人」でした。
自分のアイデンティティを疑ったことはありません。

ただ、日本も含め4カ国で子供時代を過ごしたことは、自分の性格に大きく影響していると思います。
欧米の文化に触れる機会も多かったので、価値観などが「典型的な日本人」とは違う自覚はあります。

日本でも異質、海外でも異質

私は日本人なので、もちろん海外に滞在しているときは「外国人」で異質な存在です。
自国と異なる文化の国に滞在するのは刺激的で楽しいものですが、同時に「母国でない」感覚は消えません。

地元の人と直感的に感じることが違いますし、好む生活スタイルも違います。
いくら現地に馴染んだとしても、それは馴染んだだけで、元からある習慣ではないんですよね。

でも、私のように子供時代に海外経験が多かった人は、日本にいても異質な存在です。
日本人の見た目をしていて、日本語を話しているのに、日本文化に浸って育てられたわけではありません。

異質といっても、必ずしも浮いているわけではないと思います。
日本人の友達も多く、教育にもついていけたとしても、周りの人が当たり前に共有している文化にどこか違和感を感じるんです。

母国は日本のはずで、海外滞在中に一時帰国すると喜びも感じるのに、なんだか日本を完全に自分の居場所として捉えられていません。
こういう感覚、子供時代を海外で過ごした方はよく感じているのではないかと思います。

実は、この「どこにいても異質だけど、どの文化も受け入れられる」人たちの呼び名があるの知っていましたか?
私たちは“Third Culture Kid”と呼ばれています。

Third Culture Kidって?

Third Culture Kid、略してTCKの定義としては「人格形成に影響を及ぼす時期や思春期を母国以外の文化圏で何年も過ごしたことのある子供達のこと」だそうです。

TCKの特徴や、TCKの方々の発言を少しご紹介します。

Third culture kids have a unique place in any society to which they belong. Theirs is a confusing and quite often debilitative condition. They are confronted with cultural walls or pitfalls at every turn. Unable to completely relate to their parent’s culture and yet at the same time labelled as “different” from the mainstream culture they are encouraged to belong to, they are basically cut adrift and left to float in a sort of “twilight zone” state. They form a cultural hybrid, a blend of cultures that can be interesting, but also confusing and frustrating to them. This condition is exacerbated growing up in a country like Canada. 

— Nick Voci, The Vancouver Sun, 22 Apr. 1994

As a third culture kid, you’ve experienced cross-cultural transitions that have molded you into an adaptable individual. Regardless of the challenges that you may have faced as a third culture kid, you’ve been shaped into a multi-cultural individual.

— Rudo Ellen Kazembe, Teen Vogue, 12 July 2016

As an immigrant (and particularly a native Liberian person), I’ve always felt like a third-culture kid. I was too American for the other West African kids, but then too West African for the American kids. It’s weird, I always liked saying that I was an immigrant because I felt like it was something that made me different.

— David Rue, in The Stranger, 5 Dec. 2016

まさに、母国でも海外でも異質な存在であることについて書いてありますよね。

もうちょっと直感的にわかる記事もあります。
31 Signs You’re a Third Culture Kid”というTCKあるあるをまとめたBuzzfeedの記事です。

あなたはいくつ当てはまりますか?
私はほとんど当てはまりました笑

外国人であることが楽

私は、日本が大好きですが、日本に居続けられないと思っています。
いずれは海外で仕事をしていると思います。
私は自分が外国人である状態が心地いいんです。

日本で異質な状態であると「日本人なのに変なの」という捉え方になりますが、海外で異質な存在である分には「外国人だからしょうがない」と捉えてもらえます。
というか、周りの人は大して気にしていませんから、自分自身の感じ方の問題ですね。

どこにいたって異質であるのなら、異質であることが当たり前な環境に身を置くことで安心感を得ることができるのかなと思っています。
人それぞれ、落ち着く場所は違うものですね。

おわりに:日本文化との向き合い方

私はまさにTCKで、文化の違いをすんなり受け入れられます。
海外の文化も受け入れられますし、同時に日本文化にもある程度馴染んでいくことができます。

冒頭で紹介した友人からの質問である「日本文化に戸惑うか」というのに答えるとしたら、答えはNO。

私は、海外にいるときに現地の文化を受け入れ理解しようとするように、日本にいるときは日本文化を受け入れ理解しようとします。
育ちからして、日本文化に馴染みがないのはしょうがないんです。

「日本人である自分は日本文化に馴染んで当たり前」という考えがあるから、戸惑うんではないでしょうか。
海外の文化は自分と違って当たり前だと思うのに、母国の文化だと違和感なく受け入れられるはずだ、と考えてしまっていませんか?

自分は母国と滞在国の中間にいる存在「Third Culture Kid」なんだ、と知っていると心が楽になるかもしれません。
私は自分が感じていた「異質感」に名前があることを知り、なんだか肩の荷が下りた感じがしました。

肩の荷があったことさえ気づいていませんでしたが、自分の気持ちに名前がつくことの精神的な影響はきっと大きいものなんでしょうね。

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