不倫をした父を許せない?娘の感情の複雑さ

心のはなし

不倫により家族を裏切り、傷つけた父に対する娘の複雑な感情を理解するのは難しいことです。
同じことを経験していないと、想像しにくいんではないでしょうか。
この記事で、経験者の私ができるだけわかりやすく説明したいと思います。

何年も前に不倫をし、妻はもちろん娘(当時13歳)との関係にも亀裂が入ってしまった父親から「もう何年もずっと謝り続けているし、心から反省もしているし、娘への愛も伝えているのに、いつまでも娘が怒っているようだ」という話を聞いたことがあります。

その父親の誠実な態度と娘に歩み寄る努力のおかげか、娘は話をしてくれないわけではないようです。誘えばたまに一緒に出かけることもあるほどなのに、不倫により彼女を傷つけたことを思い起こさせるような発言を時々するんだそう。父親は「心から反省はしているけれど、いつまでも『ごめんね、ごめんね』という態度ではいられない。彼女ももう大人なんだし、理解して欲しい。」ということを言っていました。

まあ、そう思いますよね。心から反省していても、いつ何時も相手の機嫌を伺い謝り続け、過去の過ちを思い起こさせるような発言に耐える状況にありたいとは思いません。この父親の発言は理解できるものだと思います。

ただ、同じく不倫により家族を裏切り傷つけた父親を持つ私に言わせれば、「子供の頃に付けられた心の傷は一生治んないですけど、理解しろってそんなの都合良いんじゃなくって?」という思いですが、まあそれは置いておきましょう。

私が引っかかったのはこの父親の「いつまでも怒っているようだ」「大人なんだし理解して欲しい」という発言です。ああ、子供の頃に父の不倫を経験した人にしか理解できない感情があるのかもしれない、そう思いました。完全に説明することはできませんが、私なりに「不倫した父を持つ娘の感情」を分析してみようと思います。

まず、大前提として、この話の娘さんも私も、不倫事件が起きるまで父親のことが大好きでした。普通に仲のいい家庭で育ち、親として父親を慕っていました。そして、父が不倫をし、母が深く傷つけられるところをみるのは10代前半の出来事です。この状況における娘の感情しか私にはわからないので、この記事に書いてあることは全てこの前提に基づいています。

さて、例を用いて説明してみます。実際に経験された方には全く違うと思われるかもしれませんが、説明しやすくするためにあくまでも例として取り上げさせてください。

自転車に子供を乗せて運転していた母親が転倒し、子供が亡くなってしまったというニュースを聞いたことがありませんか?例えばこんな事例ですね。

これ、本当にやるせない気持ちになる事故ですよね。母親は子供を傷つけようなんて微塵も思っていなかっただろうし、むしろとても愛していたんだろうと思います。最愛の我が子を失い、自分を責め続けることになるのは母親です。少しの隙を見せ、そのとき運が悪かっただけで起こった事故だと言えると思います。

こんなニュースを見たときに考えるのが他の家族のことです。例えば亡くなった子供にお兄ちゃんがいたとします。お兄ちゃんは最愛の弟を亡くし、悲しみにくれることでしょう。母親のことは大好きでも、今まで通りに接することはできません。

母親に過失はもちろんあるけれど、悪意は全くなく、むしろ母親が一番後悔しているであろうことも理解できるでしょう。その時は無理でも、時がたつにつれ徐々にわかるはずだと思います。それでもやっぱり、母親のせいで弟が亡くなったという事実は消えないんです。

大げさな例だったかもしれませんね。でも、なんとなく想像できたんじゃないでしょうか?
父親に、親として無条件の信頼を寄せていた。だけど、ある日突然その信頼を裏切り、大好きな母を深く傷つけた。少しの隙を見せ、若い女性からアプローチされるという不運に見舞われれば、不倫自体は仕方ないと言えるかもしれません。いや、絶対ダメだし人間として腐ってるとは思いますが、それができてしまうのが人間の性なんです。

悪意があってしたことではないと分かっているし、もしかしたら本人が一番後悔していることも理解できます。
でも無条件に盲目的な信頼を寄せることはもう、できなくなっています。自分の絶対的な信頼を裏切り、母を深く傷つけたという事実は消えないんです。

無条件の信頼が条件付きの信頼になったようなものなのか?いや、違うと思います。無条件の信頼が、小さな箱に押し込められている感じが近いです。
前出の例でいうと、お兄ちゃんは母親のことを親として無条件に信頼するでしょうが、どこか弟の命を奪った事実を忘れられないでしょう。かげる思いは消えません。

だから、冒頭の例の父親の「いつまでも怒っているようだ」「大人なんだし理解して欲しい」という発言はナンセンスです。怒ってはいません、仕方なかっただろうことは理解しています。

でも、それとこれは別。一生、今までと同じような信頼を寄せることはできないでしょう。できることなら父親を信頼したいと思っていても、そうコントロールできることではありません。起こった事実は消えないのです。

むしろ、父親を無条件に愛せなくなったことへの虚無感の方が、娘に「許してもらえない」感情よりも大きいかもしれませんよ。受けた傷は一生治らないので、絶対に不倫しないでね。

娘側の気持ちを理解する手助けになれたら幸いです。

▼「父親を無条件に愛せなくなったことへの虚無感」の話▼

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