出たっきり邦人@ケニア第13回「FGM(女性性器切除)」

海外で子育て体験記(by母)

このエッセイは3人の子供を連れてケニアに住んでいた母が、2006年7月に書いたものです。

「出たっきり邦人・中南米・アフリカ編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。


〓ケニア共和国・ナイロビ発〓

ケニアよもやま話 第13回 「FGM(女性性器切除)」

1年ぶりに日本に来ております。温泉、食事を楽しんでいるに入るのですが、現在『ダニ』に悩まされております。どうやら、客用布団に潜んでいるダニに毎日少しずつさされているようで、布団も新しいものを購入、交換してもらったものの、まだまだかゆみは続いております。雨が降り続いているので、すっきりと掃除、乾燥、というわけにもなかなかいかず、ダニとは無縁だったナイロビが懐かしい・・・。やっぱり、日本の畳が元凶なのでしょうか?

まあ、私事はこのくらいにして、今回はこの快適なネット環境で調べながら書けるということで、私も理解を深めたかったFGMについて、書いていこうと思います。FGMとは、昔は「女子割礼」といわれていたものですが、実際は男子に行われる割礼とは全く違います。

Female Genital Mutilation(女性性器切除)の頭文字を取った略語で、女性外性器の一部あるいは全部の切除、時には切除してから外性器を縫合してしまう慣習です。

アフリカを中心に様々な民族の伝統的な通過儀礼として、2000年以上も続いていると言われています。

理由?調べたところによると、地域によって異なりますが、主な理由としては、「伝統的慣習だから」「宗教的な儀式だから」「女性の処女性と貞節を守るため(FGMを受けていないと結婚できない)」「クリトリスは男性的特徴(ペニス)だから女性には適切でない」「女性の外性器は不潔で見苦しいから」「多産と安全な出産のため」といったことが挙げられるそうです。

まあ、この理由たちはFGMを正当化するための代々伝わるこじつけでしかないでしょう。

出産に関しては、FGMを行うことは弊害ばかりで、上記に書かれているようなことはないみたいですし。

でも、これを女性自身も信じてしまっているところが、問題が根深いところです。

ユニセフの報告書によると、赤道付近のアフリカを中心に西から東まで広く行われているらしく、中でもエジプト97%、スーダン90%、エチオピア89%、エリトリア80%など、かなりの女性がFGMを受けている。ケニアでも32%もの女性が受けているらしい・・・。遠い世界の話じゃないんですね。子供の友達のスーダン人家族ももしかして・・・なんて、考えてしまうのです。

『砂漠の女ディリー』という本では、現在はスーパーモデルである著者が、自分の幼いころに受けたFGMの体験について、生々しく書いています。彼女がFGMを受けたのはわずか5歳のとき、使い古された錆びたかみそりの刃で、麻酔も消毒もない状態で、性器を切除され、アカシアのとげで縫い合わされました。彼女は、生命力のある子供だったのでしょう。なんとか無事、外傷は癒すことができたものの、後遺症は一生残ります。またたくさんの子供が、不衛生な状態での術後の感染症や、切除時のショックにより死亡してしまいます。

彼女の場合、クリトリスと小陰唇を切除し、尿と経血のための小さな穴を一つ残し大陰唇を縫い合わせるという、一番深刻なタイプだったため、しかも縫合時にその穴を小さくしすぎたために、毎回の排尿、また月経がとても苦痛に満ちたものであったようです。毎回の排尿時には10分もかかったとか。雫のようにしか出てこないので、イギリスに出てきて始めはトイレで他人の勢いのいい音を聞くのが不思議だった様です。月経もしかり。

1週間で終わるはずはないですし、腹痛は尋常ではなかったようです。

ケニアでは2001年に法律で禁止されたようですが、ユニセフの報告書によると現在でも特に減っているわけではないようです。法律の背後にある部分を、人々に啓蒙し、理解してもらわないことにはFGMは少なくならないでしょうが、盲目的に続けている慣習

をやめさせるのは、並大抵のことではないのでしょう。

ケニアで言えば、ナイロビからもそう遠くないマサイ族の町カジアドでは93.9%ものFGMの普及率らしいです。ただ、そういう場所でもFGMの弊害を普及活動を通して、少なくとも公然に行われることではなくなったようです。ただ、施術者は一回施術すると14ドル相当の報酬が得られるとか。普通1日1ドルの生活レベルの人たちからしたら、やめられない仕事なのでしょう。

しかし、10人に9人か…、ということは、まだその年齢に達していない子もいるということだけで、ほぼ全員ですね…。

自分も含め、そんな慣習を持たないところに生まれ育ったのは幸せです。わが子たちにそんな苦痛を与えることをしなくてはならない状況にある母親たちに深く同情します。

先進国にいる富裕層の人たちの中にも、わざわざ母国に帰ってきて病院で処置を受けさせるケースもあるそうです。どのような理由であれ、私個人としては賛成できません。世の中から、FGMにより苦しむ女性がいなくなることを願います。

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